*片翼の天使*
「バイトは辞められない……か。
でもな、バイトしてても出来るぞ! 」
ミカ先輩は説得しようと必死だ。
「家、生活苦しいんです。
少しでもバイトしたいんです」
「分かった!
じゃあ仮部員な! 決定!」
「は……はい!?」
「練習日、いつも参加しなくていい!
来れるときだけ来い!
大会は、レギュラーじゃなくても、なるべく参加な! 」
「それがいいですわ」
部長がなにやらバックから紙を取り出し、あたしに渡す。
「これ、夏休みの練習スケジュール表と、年間試合予定だから」
「ほとんど行けませんよ? 」
「今は、それでもいい! 」
そんな話しをしていると、そこへ王子がやってきた。
自分達の試合が先に終わっていた王子達は、女子の試合を見ていたらしい。
「やりましたね!
ミカ先輩! これで男女ともに、地区大会準決勝ですね! 」
「だな! こいつのおかげだ」
ミカ先輩があたしを叩く。
「……いって」
「ハルトもありがとな!
ナズナを紹介してくれて! 」
「あっ……はい!
ナズちゃん、バスケすごい上手いでしょう? 」
「おう!
今回、カナミがいなくてキツかったから助かった!
あっ……今日からこいつ仮部員だから!」
「まじっすか!
やりましたね!
俺も、ずっと誘ってたんですよ! 」
「なっ!
腐らせとくには、もったいない才能だよな! 」
こうしてあたしは、半強制的にバスケ部に入部させられたのだった。
バイトない日なら、来れるけど、確実に幽霊部員になるな……今のうちにキッパリ断っとくべきか?
でも、正直やりたい気持ちもある……。
どうすっかな。
トモカにでも相談するか。
その後、体育館で、男女バスケ部員が集まって、ミーティングをし、解散した。