冬の足跡

知らない気持ち

今日も、雪が降る。
窓から見上げるその雪は、ゆっくり、ゆっくりと落ちて行く。
「…冬実ってもしや冬生まれ?」
「…え?」
隣から声がして、振り向けば、やっぱり真琴。
「え。なんて?」
雪に夢中だった私の耳には、ちゃんと届かなかった。
「いやだから、冬生まれなの?」
冬生まれ?
「え。真琴、冬生まれなの?」
真琴も冬生まれなんだ!!って、すごく嬉しかった。
「え?…フハハ。アハハッ」
「なに?何?」
いきなり笑われて戸惑う私を余所に、真琴は私の肩をポンポンッと叩く。
私の全神経は、肩へと一気に集中する。
「俺は夏生まれ!冬実が、冬生まれなんじゃないか聞いてんだよ?」
優しいその瞳は、その笑顔は、その手は、私を一瞬に虜にする。
「ふ、ふ、冬生まれだけど…なんで分かったの?」
「いつも雪見てるし、雪降ったら、嬉しそうだから。」

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