冬の足跡

駄目

「私…」
駄目。声が詰まってしまう。
声が出ない。
喉がカラカラ。
「私…」
その先。その先を言わなきゃ。
…ここでは言えない。
「…真琴、ちょっと、来て。」
私は真琴の腕を引いて、屋上へ向かった。
……寒っ。
…私、馬鹿ですか?
雪が降ってるときに、わざわざ屋上行くか?
「ご、ごめん。こんな寒いとこ連れてきて。」
「…ううん。で、何?」
真琴は落ち着いたみたいで、私の方を見る。
「私…私ね…」
駄目だ。やっぱり先を言えない。
でも言わなきゃ。
頑張れ、私。

スゥ。
息を吸う。

ハァ。
息を吐く。

そして…言うんだ。

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