冬の足跡
…いい加減、一回くらい話してみようかな。
いつも見てる限りでは、すっごく優しそうな人だし…大丈夫だよね??…うん、大丈夫。

と、自分で自問自答する。

「…あの…。柊君?」
柊君は私が話しかけたことにびっくりしたみたいで、しばらく目を見開いてこっちを見ていた。

「…何?」
びっくりした。
すごく…声が優しくて。
きっとこの人は、とっても優しい人なのかな?
って思った。

「えっと…私…冬実。間宮 冬実ってゆうんだけど…」
「うん?」
「えっと…あの…うん…。」
私はいったい、話しかけてどうするつもりだったんだろうと、焦った。
何も言葉が浮かばない。
…どうしよう。

「と、とにかく、よろしくね!?」
柊君は、一瞬止まって、また優しい声で、優しい笑顔で言った。
「うん。俺の事、真琴でいいよ!」
「わた、私の事も冬実で…ぃぃょ。」
最後の"いいよ"は、小さくなってしまった。
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