冬の足跡
「うん。よろしく!」
そう言って、柊君…真琴は、席を立って、友達のところへ行ってしまった。

迷惑だったかな。

なんだろ…これ。
胸がドキドキする。

思った以上に、声が低くて、
思ったとおりに、優しくて、
思った以上に、背が高くて、
思ったとおりに、笑顔が綺麗だった。

なんか…すごく…顔が緩む。

「あっれ~??冬実にもついに天使が舞い降りた?」
後ろから聞きなれた声がする。
この声は、すぐに分かる。
「紀龍!何が天使なのさ!」
「え?だって、真琴に恋したんじゃねぇの?」
「はい?」
「え。だって、ねぇ?」
紀龍はニヤニヤと笑う。
…ムカつく。
「ぁぁ、うるさい~!!燐のとこに行ってれば!?」
私は半ば自棄になりながら、紀龍を睨みながら言った。
「はいはい。」
そう言って紀龍は、鼻歌交じりに燐のもとへ行った。

…恋?
なにそれ。
それって…あの二人みたいなの?

< 8 / 28 >

この作品をシェア

pagetop