すき、きらい、さよなら
「すき、きらい、
すき、きらい・・・」
少女の声だけが響く。
少女の手には、
花が握られていた。
どこにでもある、
ただの雑草だ。
俺はそれを、
何をするでもなく、
ぼーっと眺める。
「ねぇ、
花占いって、
人の心みたいだねぇ。」
少女は笑って言った。
「昨日はすきって言ってても、
些細なことできらいになったり、
やっぱりまたすきになったり。
不安定で危なくて、
とりとめが無くて・・・」
少女の手の中で
花びらをを失っていくはずの花は、
何のこともなく、
原形をとどめている。
「すき、きらい、
すき、きらい、すき・・・」