気付いたら、悪魔の腕の中。


 「う・・・ひっく・・・ゆ、うちゃん」


 好きすぎて辛い。

 あきらめようっって何回も思った。

 中学のとき、かばんにゴミくず入れられたり、教科書に『ブス』とか『バカ』とか落書きされたこともあった。

 それでも好きでいられたのは、それがゆうちゃんのあたしだけに見せる姿だと思っていたから。

 それが嬉しかったから。

 何より、本当は優しいんだって知ってたから。



 だけど、高校に入って意地悪にプラスして冷たくなった。


 それが一番辛かったんだ・・・。



 誰かに笑顔を向けて、甘い言葉を囁くゆうちゃんを見たくなかった。


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