気付いたら、悪魔の腕の中。



 「もう・・・帰ろう」


 泣き疲れたあたしはかばんを手にとり、教室から出た。


 もうすぐ18時になる。

 夕日が沈みかけ、暗闇が訪れ始める。




 「あれ?」



 下駄箱に向かい、ローファーを取り出そうとすると一枚の紙に気付いた。



 「また、か」


 そこには・・・『泣いてた?』とだけ書かれている。


 時々こうした紙切れが入ってるんだ。
 もちろん差出人は不明。
 
 ストーカーと疑ったこともあったけど、別に跡をつけられてる気配もないし。
 ただのイタズラかなって思ってたんだけど・・・


 いつもタイミングがいいんだよね・・・。

 決まって、ゆうちゃんのことで泣いてたり元気がないと入ってるんだ。

 実はちょっとだけこの紙切れが嬉しかったりする。




 
< 14 / 89 >

この作品をシェア

pagetop