気付いたら、悪魔の腕の中。
scene[1]
「おい」
それは清々しい7月初めの朝のこと。
いつものように登校しようと家の門を潜った。
そこに響いた、低くて落ち着きのある声。
「へ?」
「おせぇ」
な、なんでいるの!?
今日はゆうちゃんの嫌いな月曜日なのに。
「ゆ、ゆうちゃん!」
「おい、ブス」
『ブス』という単語に胸がチクンと痛む。
もう聞きなれたはずなのに・・・。
「その呼び方やめろよ」