気付いたら、悪魔の腕の中。


 神宮寺 悠詩(じんぐうじ ゆうし)。


 あたしの好きな人・・・です。


 「ゆ・・・神宮寺くん。あの・・・おはよう」



 「早く歩けば?」



 「あ、うん」



 同じ高校に通うあたしたちは、ほんのたまに一緒にいくことがある。

 だけどめったにない。

 すべては、ゆうちゃんの気分次第。

 待っててくれるのは月に数回。
 
 大体、先に行ってたり、遅刻してきたり。

 特に月曜日はゆうちゃんの出現率が極端に下がる。



 決して、隣を歩くことは許されない。

 『3歩後ろを歩け』

 そう言われてるから・・・



 「おい、タマ」

 
 そして、ゆうちゃんはあたしをタマと呼ぶ。
 名前が美村 環(みむら たまき)だから・・・らしい。


 
 「は、はいっ」




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