気付いたら、悪魔の腕の中。


 ごめんね、潤ちゃん。

 あたしは、ずるい。
 潤ちゃんの気持ちを、無視しようとしている。どうしても譲れない、ゆうちゃんを。今まで何度も何度も譲ってきたくせに…



 あたしは潤ちゃんからカバンを受け取って、学校を飛び出した。

 ごめんね。ごめんね。

 潤ちゃんの想い、無駄にしたくないから。だから、行くね…?






 ゆうちゃんはきっとうちに来るだろう。

 今日は、お姉ちゃんの命日だから。



 あたしは、大事なことを忘れていた…大事な、大事ことを。

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