気付いたら、悪魔の腕の中。
「俺さ、いちかにフられてきた」
「え!?」
結城くんから思いがけない言葉が飛び出し、心底驚いた。
「俺とは、親のために付き合ってたんだと」
馬鹿らしい、と自嘲気味に言う結城くん。あたしはなんだか切なくなって、慰めの言葉もかけてやれない。ほんて情けないな…
「…なあ、環」
「ん?」
「提案があんだけど」
「なに?」
冷たい風があたしの髪を揺らす。結城くんのほうを向くと、いつもより真剣な猫目がみえた。