気付いたら、悪魔の腕の中。


 ゆうちゃんが…



 お姉ちゃんを………?







 そんな大事なこと…

 あたし知らなかった。







 ううん…、嘘。
 知ってたのに知らないふりして、無理やり記憶を遠ざけてた。



 そっか、そうだよね。

 あたしは最初から叶わない恋をしてたんだ。





 「…たまき?まさか、お前知らなかったのか?」


 あたしは結城くんの学ランに顔を押し付けた。涙は一筋しか流さなかった。



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