気付いたら、悪魔の腕の中。




 「お前は俺のでしょ?環」




 …え?




 「お前が好きなのも俺。お前をどうこうしていいのも俺。そうだよな、環?」






 有無を言わさないその表情。さっきまでの幼さは欠片もない。なんだか、よくわからないけどやっぱりゆうちゃんには勝てない。





 「理解しろよ。そばにいろつってんの」



 ねぇ、やっぱ夢なんじゃない?



 「…ゆ、う」


 名前を呼び終わる前に唇を塞がれた。ひょっとして奇跡が起きたのかもしれない。

 だって、あなたの唇の熱は嘘じゃないでしょ。



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