アネモネ
別れを告げて早3日。
特に変わりなく過ごしてる。
強いて言うなら、綺麗な女の子たちに囲まれる彰を探さなくていいから、時間に余裕がある。(もちろん、気持ちの余裕も。)
「はよー、紫音」
「あ、おはよ〜」
「相変わらず、うん。」
「私は中の中ですー。満は綺麗よね」
う、うるせえ!と顔を真っ赤にして抗議するのは、藤嵜 満(フジサキ ミツル)。
男っぽい名前だけど、女。
すごく綺麗な子なんだな、これが。
満曰く、私は可愛い寄りの美人らしい。
(毎度の否定は恒例。)
「最近、どう?落ち着いた?」
「‥うん、大分慣れた。」
「そっか。」
高1になってから仲良くしてて、クラスもずっと一緒。そんなこんなだから、満には色々お世話になってる。
彰に別れを告げた次の日、満にはちゃんと報告した。何度も鬱憤を聞いてもらったし、何せ年上彼氏持ちの仲間だからね。
「それより!満はどうなの〜?」
「いや別に変わりは、ない」
「(にやにや、にやにや)」
「あああああっ!分かった!言うよ!」
「んふっ」
んふじゃねえっ、と思いきり頭を叩かれたが愛情としてスルーする。
それからは2年がよく使う廊下を慣れた足取りで進めていき、話をする。満のこの前のデートのこととか今までのプレゼントとか、
いっぱい。
それで、いつも思う。
満が『羨ましい』、と。
毎日彼に会って心から幸せだと笑える。
愛情を受け取ってもらえて、返ってくる。
優しく触れてくれる、
自分を見てくれる、
自分にだけ笑ってくれる、
そんな彼氏を持つ満が、羨ましかった。
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