アネモネ
3
人通りが少ないところを選びながら、下を向いて全力疾走。
ドンッ
「‥っ!?」「うわ‥っ!」
当然のことながら、前を見ずに走っていたら人とぶつかった。
「ご、ごめんなさ‥、‥っ」
即座に立ち上がり、勢いよく頭を下げて、上げる。
ただ視線を上げた先には、予想外の人。
「いや、こっちこそご、め‥‥し、おん?」
見上げた先には、
「‥‥あき、ら」
涙の原因である、彰。
周りには誰も居ない。
2人だけが居て、黙って見つめ合って、
互いに傷付いた顔を晒し合って。
_