アネモネ
わからないわからないわからない
そうやって繰り返し呟きながら走って、
歩いて、自分の思考の波に頭を
麻痺させようとしても、気付けば
考えていることは結局は彰のこと。
前をむいて今度は転ばないように
ぶつからないようにと歩けば、
視界に入ってくるのは彰を連想させる
モノ、ヒト、バショ。
ああ、あの人は1か月前から
ご贔屓にしてる3年の先輩。
ああ、あの人は先週彰にキスされてた
同級生。
ああ、あの暗がりになっているところで
彰と誰かがキスをしていた。
ああ、今すれ違った人のネックレスは
彰の好きなブランドだ。
‥‥‥‥ああ、あの場所は、彰が、
私に、想いを、
伝えてくれた、場所だ。
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