アネモネ
わからないことが多すぎて、ただ混乱するしか出来ないの。
別れを告げて尚、こんなに悩むなんて微塵にも思わなかったの。
しかし、悲劇のヒロインのような思考回路をともにした学校の徘徊は、突如として終止符を打たれた。
頭上から友人の声が聞こえたのだ。
「あれ、紫音だ。」
「…あ、満。」
「はあ、大丈夫~?」
「ん、大丈夫!」
わざと軽めのノリで聞いてくれているのだと理解し、私もへらりと笑って顔をしっかりと上に向けた。
「次、移動だよねー!待ってて、すぐ行く!」
「はいよ~」
ねえ、満。
貴女が言った言葉が本当なら、きっと私と彰は一緒にいるべき二人ではなかったのかもしれないね。
だって、私が笑いかけても彼に私の表情が、声が、届くことはなかったの。
だって、私は彼から切なさや我慢を教わったけど、彼の前で幸せに笑うことがどうしても出来なかったの。