アネモネ
「紫音、」
「何ですか、如月先輩。」
「っ‥何で?」
どうしてか?
理由なんて腐る程ある。
それを全部我慢して我慢して、
他の人のところに行くのを見てた。
知らないフリして、笑顔を貼付けて見てた。
でも、私の体も心もそんなに頑丈じゃない。
もう、限界。
「ばいばい」
彰が帰って来ないかもしれない不安を隠すために、次に繋げる「またね」は、終わりを告げた。
待てよ、とか焦った声は気のせいにして
彰に背を向けて走り出した。
さようなら、大好きな人。
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