声の王子様 ①
volume.02 BでLなボイス
塾での授業が終わった時には
窓の外は真っ暗。
帰る支度をさっさと済ませて
私も席を立つと、斜め前の席に未だ座ったままの生徒を見つけた。
薄茶色のミディアムヘヤーの
あの濃い紺色のブレザーには見覚えがある。
彼女はいつもあの席で、誰よりも早く誰よりも遅く教室を後にする。
授業が始まる前、終わった後は必ずイヤホンを耳に付け、英語のテキストを手にしている姿がとても印象的な彼女。
勉学に対するあの真摯な姿勢。
是非とも友達になりたい。
席を立った彼女の後ろから
肩を叩くと少し驚いた顔をして振り返る。