声の王子様 ①



「ごめんなさい突然。私、真白高校一年、高梨チカと言い
ます。貴女とは趣味が合いそうだからお友達になりたい
んです。いえ、なりましょう」



イヤホンを抜いた彼女の目に
黒いゴムで髪を二つ結びにした自分の姿が映っている。



「趣味………?
どうして………?」



「見れば分かります、それくらい」



そう言った途端、戸惑いの色ばかりだった彼女の大人しい顔がパッと輝き、
何度もうんうんと頷いた。


そんなに喜んで貰えるなんて
光栄だ。


私も嬉しい。


声を掛けて良かった。



「アタシ、黒羽高校一年、関谷晴香。語り合える人が塾でできるなんて嬉しい」




< 11 / 15 >

この作品をシェア

pagetop