声の王子様 ①
語り合える。
ああ、勉強方法とか、良い参考書とか、そんな話しね。
「私も嬉しい。沢山、語り合いたい」
「本当!? だったら高梨さん、高梨さんはこれ知ってる?」
抱いていた印象とは随分違い、関谷さんはいささか興奮気味にイヤホンを片方、私の耳に近付けた。
その瞬間、艶めかしい男性の声が聞こえてきて、私の思考は完全に止まってしまった。
「アタシそのシリーズが大ッッ好きで、特にフカ君がもう最高なの」
早口で話す目の前の瞳が
輝きに満ち、関谷さんは期待に溢れた眼差しを向けてくる。
きっと私の反応が自分と同じものだと
確信しているからだろう。
趣味が合いそうだと、私が確かにそう言ったから。