声の王子様 ①
『あ………っ! もう駄目だよ。オレ………もう………っ』
『そうじゃねぇだろ。ちゃんと教えたよな。おねだりの仕方。覚えてる? センセイ?』
生まれて初めて耳にした息遣いや効果音に頭がクラクラしてきた。
何より引っ掛かったのは、どうやら不良生徒らしいこの声。
雰囲気こそ違うものの
これはきっと、いや絶対そう。
「この声………」
「やっぱり!? やっぱりいいよね、フカ君の攻めは!」
「フカ、君?」
それだけしか理解
出来なかった。
それが人の名前なんだと言う事だけ、受け付けた言葉。
「そう。深見大輔。アタシはフカ君が売れる前から注目してたの」