声の王子様 ①
直視し続ける事が出来ずに
目を瞬かせ俯くと、
不意に人の気配を感じてすぐに顔を上げた。
すると同じタイミングで
両肩を掴まれ、何事かと
理解出来るまでに耳元で囁かれた言葉。
「ごめん、ちょっとだけ付き合って。すぐに片付けるから」
「っ!!!」
脳天から電流が流れたような
―――そんな経験はないから正確には分からないけれど。
でも確かにビリッとした
刺激が体中に走り、全身の力が脱力するという不可解な症状が起きた。
声が………
まるで凶器のよう。