甘えんBoy
会計を済ませ、車で家へと向かう
「あ、またいる」
もはや当たり前の光景になってきたが、家の前には女の子がたくさんいた
「ほら、あのピンクのワンピースのこなんか結構可愛いじゃない」
「…興味ねぇ」
龍貴は深く帽子を被り、身を縮めていた
「はやく帰るぞ。裏回って」
「回ってくださいでしょ。まったく…」
私は車を裏に回し、龍貴を降ろした
「はあ、あんたもよくそんなんで芸能人とかやってられるね。不思議でしょーがない」
「あ?」
「女の子嫌いとか…。周りにいっぱいいるでしょーに」
ドラマでもなんでも、共演してる女の子やスタッフだってたくさんいるはず
全部が全部、キャーキャー言うはずはないんじゃないか…?
「一人くらいはちゃんと龍貴のこと、見てくれる人いるよ。たぶんね」
私が冗談めかして言うと、龍貴はちょっと笑った
「それならいらない」
「…は?」
「俺にはお前だけいればいい」