男子校に迷子の子猫
双子の兄が行方不明?
「あれ、お兄ちゃん…どっか行くの?」
「ああ。ちょっと出かけて来るよ」
「ふーん…いってらっしゃい」
いつものように双子の兄──坂井真央を見送った。
この日から私はお兄ちゃんに会ってない。
というのも、お兄ちゃんはこの日からずっと家に帰ってきていないから。
「もう、真央…どこにいったのかしら」
お母さんは頭を抱えながら椅子に座っている。
「明後日が入学式なのに」
お父さんは困ったときのクセで、首の後ろを掻いている。
一方、妹の私──真紀はというと…
「家出でもしたんじゃない?お兄ちゃん」
確かに。お兄ちゃんの部屋の机には
『探さないでください。すぐに戻ってきます』
という手紙が置いてあった。
これはいわゆる家出でしょ。