男子校に迷子の子猫
入学式前日になっても、お兄ちゃんが帰ってくる気配はまったくなかった。
もちろん私の携帯にも、家の電話にも連絡は一切ない。
私はいつになく焦りながら、いろいろなことを想像していた。
いつ帰ってくるか分からないお兄ちゃんは、このまま大丈夫なのだろうか。
そんな生徒は簡単に退学させられてしまうのか。
妹の私も連帯責任を受けなければいけないのか。
そうなっちゃったらもう、行く学校なくなっちゃうよ…
一か八かでお兄ちゃんの携帯に電話をしようとした、その時────
「ただいま~」
学校に行ってたお母さん達が戻ってきた。
「ど、どうだった!?お兄ちゃん、学校辞めさせられるの!?」
「まあまあ。落ち着きなさい、真紀」
お父さんがのん気に笑って言った。
これが落ち着いてられる!?
お兄ちゃんの人生。危うくは私の人生までかかってくるんだからね。
「真紀、テーブルに着きなさい」
「え?あ…はぁい」
そ、そんなにきちんと言わなきゃいけないことなの?
私にも何かしらの影響があるってことなのかな?
ああ…私の楽しい高校生活が…