学生さん
 家を出てから開告大文学部に入学し、院まで進学しているが、学費と生活費は奨学金と家庭教師のバイト代で賄(まかな)ってきた。


 今はバイトを辞めて研究に専念できているのだが、将来的にどうなるのか分からない。


 だけど謙太のように学校を中退しなければ、何とかなるだろう。


 あたし自身、そう思っていた。


 自分に課されているのは英語の研究だ。


 アメリカ文学は大学時代の専攻で、未だに未練や余韻といったものが残る。


 でも、あたしは院でコミュニケーションツールとしての英語を勉強したかった。


 そう思えるからこそ尚更授業に来たり、カサ研に詰めたりする。


 あたし自身、それ以外にやることがないのだし、普通に就職するのなら院に在籍しながらでも就活するだろう。


 それをしないということは、大学に残ることを意味する。


 あたしは自分で言うのもなんだが、ずっと優等生で通ってきた。


 大学時代の成績も優ばかりだ。
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