学生さん
 それぐらい絶えず勉強に打ち込んでいた。


 あたしが大学受験時に合格していた早稲田や慶應を蹴ったのは、首都圏の難関私大に何ら魅力を感じなかったからである。


 開告大の方が、研究機関としては遥かにいいと思っていた。


 だから大学時代は皆勤賞だったし、同級生たちよりも出来がよかったのが事実だ。


 一部の女子学生などから妬(ねた)まれたことすらあった。


 嫉妬(しっと)というのは実に怖い。


 あたしはそういった学生たちとは一線を画していた。


 志が違うのよと思っていて。


 それにあたし自身、元々院への進学を視野に入れて大学に入学していたから、悪い連中とは一切付き合いがなかった。


 ピュアな分、世間を知らないということなのかもしれない。


 だけどあたしは、そういった社会経験は後から付いてくるものと思っていた。


 だから、今出来ることをやろうと思って、研究に臨んでいる。
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