学生さん
 大概、使えない英語は勉強しても仕方ない。


 あたし自身、それは痛感しているのだった。


 まあ、あたしは学部でアメリカ文学を専攻していたので、卒論こそヘミングウェイだったが……。


 ずっとこれから先、大学に残っていくため、最低限しておかないといけない勉強がたくさんある。


 これがとても大変だ。


 もちろん基礎的なものは学部時代に覚え込んでいたのだが、院の授業は高度で専門的なので、あたし自身付いていけないようなところもあった。


 だけど学問をするのに遅いということはない。


 むしろ学部時代、花開かずに、院に進学してから遅咲きで研究する学生の方が断然伸びていくのだ。


 あたしはそう思っていたのだし、実際そうだった。


 学部時代に埋没していたような人間たちが院まで来ると伸びる。


 人文学系統の大学院生は研究自体マニアックだったし、あたし自身、一種の恐怖感のよ
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