学生さん
 おそらく公募原稿も推敲段階に入っていると思うし……。


 でも彼が選んだのは研究者への道ではなく、創作へのそれだ。


 謙太はずっとパソコンのキーを叩き続けながら、毎日を送っているものと思う。


 あたしは彼が原稿を仕上げてしまってから、街にあるカフェで会うつもりでいた。


 お茶を飲みながら、あたしも少し息抜きがしたいのだし……。


 それに謙太も原稿に向かってばかりじゃ、疲れてしまうと思うから……。


 互いに違う道を歩いていても、あたしたちは一緒にいられる。


 お互い一緒の大学に入り、付き合い始めてからある程度の年数が経っているので、分か
り合えていた。


 一歳違いの恋人同士で。
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