学生さん
第20章
     20
 謙太からは毎日メールが来る。


 欠かさずずっと。


 彼がメールの中で書いていた。


 <七月末の締め切りには余裕で間に合うよ。上限は五百枚だけど、何とか収まりそう。追い込みの段階だから頑張るね>と。


 あたしはその文面を見て、安心する。


 確かにあたし自身、毎日ずっとカサ研に詰めながら、疲れることが多い。


 ふっと学校で一日が終わって、自宅まで歩いて帰るときは、深呼吸して気持ちを落ち着けていた。


 あたしは基本的に朝型である。


 夜は眠る時間なので、一切研究には充てない。


 七月は日中・夜間問わず、蒸し暑い。


 夏も本番で、連日酷暑が続く。

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