学生さん
 話をすること自体、あまりもバカげているので。


 それにいくらその手の人間たちが特化した専門の話をしたとしても、別に関係ない。


 あたしは普段から昼間の時間はずっと、カサ研でキーを叩きながらいろんなことを考え続けているのだが、同じ研究室にいても辟易(へきえき)するような人間たちがいた。


 これが大学の研究室の実態である。


 嫌だったら口も利かないし、ほとんど話らしい話すらしない。


 それでも十分通るのだからよかった。


 あたしは確かに人当たりはいい。


 邪険(じゃけん)な態度を取ることはまずなかった。


 だけど同じフロアに詰めていて、意見が合わない人間も大勢いる。


 あたしはそういった人間たちは極力相手しないようにしていた。
 

 一々真剣に向き合っていたら、疲れるのだし……。


 あたし自身、嫌な人間に対して、何も言わないなら言わないで済んでいる。

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