学生さん
第21章
21
謙太は七月末に締め切りの日本ミステリー文学大賞の公募原稿を書き上げ、プリントアウトせずにメールで賞を主催している出版社に送ったようだ。
<原稿完成したから送ったよ>とメールが入ってきた。
あたしはそれを読んで、ようやく彼が一定の緊張状態から脱したことが分かる。
数日後、謙太があたしのマンションに遊びに来た。
あたしが扉を開け、彼を呼び入れる。
「疲れたでしょう?」
「ああ、まあな。……でもミステリーって面白いよね。想像の世界なんだけど」
「あたし、研究の合間に文芸雑誌読んでるけど、作家って仮になれたとしても大変な仕事だろうなって思う」
「まあ、確かにね。俺も覚悟してるよ。目の前の壁が高いのはね」
「やっぱし、謙太もそこまで腹括ってたのね。院を修士の途中で中退したぐらいだから」
「ああ。俺は結構マジでやるつもりだよ。この仕事が大変なのは分かってるし」
謙太は七月末に締め切りの日本ミステリー文学大賞の公募原稿を書き上げ、プリントアウトせずにメールで賞を主催している出版社に送ったようだ。
<原稿完成したから送ったよ>とメールが入ってきた。
あたしはそれを読んで、ようやく彼が一定の緊張状態から脱したことが分かる。
数日後、謙太があたしのマンションに遊びに来た。
あたしが扉を開け、彼を呼び入れる。
「疲れたでしょう?」
「ああ、まあな。……でもミステリーって面白いよね。想像の世界なんだけど」
「あたし、研究の合間に文芸雑誌読んでるけど、作家って仮になれたとしても大変な仕事だろうなって思う」
「まあ、確かにね。俺も覚悟してるよ。目の前の壁が高いのはね」
「やっぱし、謙太もそこまで腹括ってたのね。院を修士の途中で中退したぐらいだから」
「ああ。俺は結構マジでやるつもりだよ。この仕事が大変なのは分かってるし」