学生さん
 キッチンに立ち、具材を切って、脂を引いたフライパンで炒めた。


 十五分ほど熱を加え、出来上がった料理に味付けする。


 そして完成した料理を皿に載せ、彼が座っているリビングのテーブルへ持っていった。


「はい、どうぞ」


「ああ、ありがとう。美味そうだな」


「でも、ホント久しぶりね。こうやって一緒に食事取るのは」


「うん。でもお互い忙しかったんだから、仕方ないじゃない」


「まあ、そうね。……あたしも謙太が原稿書き終わったら、街のお洒落なカフェで一緒にお茶を飲むつもりだったの」


「何もカフェじゃなくても、ここでいいじゃん。俺、ティータイムなんて自宅でも十分取れるって思ってるし」


「街に出なくても?」


「ああ。それに二人でこうやって食卓囲めるのが、何よりも一番いいんだよ」


「そうかもね。あたし、何か先走っちゃってたみたい」
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