学生さん
 その準備にも余念がなかった。


 あたしは開告大の院生の代表として、研究発表しないといけない。


 一応英語全般に関して報告をするつもりでいたが、レジュメなどを作る際は相当多数の文献から資料を引っ張ってくる必要がある。


 あたしは確かに緊張していた。


 河西にもそういった報告会においての報告の仕方のハウツーを聞くつもりでいる。


 事前にシミュレーションしておけば大丈夫だからだ。


 あたし自身、この夏は研究色一色に染まるつもりでいる。


 もちろん謙太とも付き合いながら……。


 あたしは彼の送った原稿が評価されて、作家としての橋頭堡が築けるのを楽しみにしていた。


 院の修士過程の一年生といえば、一番旬な時期だ。


 まだまだ可能性は試せるのだし……。


 あたしは研究者になるコースをひた走るつもりでいたのだが……。
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