学生さん
第3章
    3
 あたしは目の前に広がっている桜並木の木々から、咲いた花びらが落ちていくのを見ていた。


 ハラハラと桃色の花弁が次々に舞い落ちる。


 春の開告大は新入生向けのサークルの誘いでごった返す。


 あたしも一年生の時、散々勧誘された。


 何せキャンパスライフといえばサークルである。


 それが定番だと思っていたからだ。


 あたし自身、高校時代はずっと学校に出席していたが、部活らしい部活はしていなかった。


 田舎の高校は部活もそんなに盛んじゃない。


 あたしは高校三年のとき、全国模試で開告大文学部はA判定を取っていた。


 担任から首都圏にある難関有名私大の文学部を受けてみないかと言われていたし、実際受験して、早稲田と慶應にも合格していた。


 だけど、あたしはさすがに大都会で生活することに不安を覚えていたのだ。
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