学生さん
第23章
23
八月に入り、大学は一斉に休みとなっているが、あたしはカサ研に行ったり、暇を見つけては図書館などに本を借りに行ったりもしていた。
毎日ずっと雑用ばかりが続いていたから、ここらで一つ骨休めといったところだ。
確かに英語の研究は奥が深い。
言語としては世界で一番使われているので、共通性があるし、外国人がキャンパスに来たときなどは、コミュニケーションツールとして必須だった。
あたしは英語を一通り喋ることが出来る。
相手と意思疎通を図る際に、必要なものだからだ。
あたし自身、休みの間中、カサ研に詰めながらも、謙太とキャンパス内のカフェなどで待ち合わせしたりもしていた。
学内で会うたびに彼が言う。
「もう河西の爺さんとは会いたくないけどな」と。
「そんなこと言っちゃダメよ。一応お世話になった先生なんだから」
あたしがそう言うのだが、謙太は院中退で、作家志望の青年だったから、気持ちが分か
八月に入り、大学は一斉に休みとなっているが、あたしはカサ研に行ったり、暇を見つけては図書館などに本を借りに行ったりもしていた。
毎日ずっと雑用ばかりが続いていたから、ここらで一つ骨休めといったところだ。
確かに英語の研究は奥が深い。
言語としては世界で一番使われているので、共通性があるし、外国人がキャンパスに来たときなどは、コミュニケーションツールとして必須だった。
あたしは英語を一通り喋ることが出来る。
相手と意思疎通を図る際に、必要なものだからだ。
あたし自身、休みの間中、カサ研に詰めながらも、謙太とキャンパス内のカフェなどで待ち合わせしたりもしていた。
学内で会うたびに彼が言う。
「もう河西の爺さんとは会いたくないけどな」と。
「そんなこと言っちゃダメよ。一応お世話になった先生なんだから」
あたしがそう言うのだが、謙太は院中退で、作家志望の青年だったから、気持ちが分か