学生さん
 と言った。


 筆が鈍るのがまずいらしい。


 あたしは彼のブログを見ていた。


 時間が許す限り。


 そしてアクセスカウンターに表示されている通り、かなりアクセス数が多いのも知っている。

 
 謙太はもし賞を獲れば、一躍人気作家に躍り出る可能性があった。


 今はまだ原稿の発表待ちだが、自信はあるらしい。


 元々開告大文学部に入学した時点で、彼は職業作家になることを意識していたようだ。


 あたしは謙太と付き合いながらも、言葉の端々に文学や文芸、創作などの気配が現れているのを知っていたし、別に偶然でも何でもないと思っていた。


 学部卒業後、院に入学したのは一種のカモフラージュだったようだ。


 彼は院の授業にはまともに来なかったし、河西もその時点で謙太が研究に向かないのを知ったのだろうと思う。

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