学生さん
 だけど、あたしたちの恋仲は出会ってから開かれた学科内の新歓コンパがきっかけで、ずっと続いている。


 コンパの会場である第二食堂で開かれた歓迎会で、あたしたちは時間を共にした。


 アルコールが入った後、彼の住む1Kのアパートに一緒に行って一夜を過ごしたことも。


 鮮明に覚えているのだった。


 あのときの記憶を。


 あたしはこれから先、謙太とは別の世界に住むことになりそうだが、彼が自宅アパートで仕事し続ける限り、付き合うのは構わないと思っている。


 何せ、謙太は想像力を生かす仕事をするのだし、あたしは文献を読むのが日常となりそうだからだ。


 あたしたちはずっと一緒にいるつもりでいた。


 互いに多少傷付くことはあるかもしれない。


 でも、それはカップルなら誰もがあることだ。


 特にあたしたちのように成熟した大人の恋人同士なら。

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