学生さん
第24章
     24
 九月になって、後期の授業が始まると、また学内は賑わい出す。


 あたしは普段、カサ研に詰める以外は学部生の授業にティーチングアシスタントとして出席したり、院の授業を受けたりしていた。


 絶えず研究は続く。


 あたしにとって、学内での授業は実に有意義だ。


 いろんなことが参考になる。


 最近、学部生も結構力を付けてきたなと思えることがあった。


 講義における彼ら・彼女らの発言が以前よりもよりレベルの上がったものと考えられたし、あたしは正直なところ、河西が対応しきれるかどうか心配なのだ。


 稀にTA――ティーチングアシスタントの略称なのだが――のあたしに、


「富岡君、君ならどう思う?」


 と訊いてくる。


 あたしは東都大の院への進学を勧められるぐらい英語においてはレベルが高かったし、河西が答えきれないときは代わりに返答していた。
< 141 / 200 >

この作品をシェア

pagetop