学生さん
になったとしてもおかしくはない。


 あたしは河西が退職し、桃山が教授になったら、桃山に就くつもりでいた。


 学内では教官と学生間の信頼関係が一番大事だ。


 何を進めていくにしても協調性が非常に大切で、それを怠ればアカデミアの世界にはいられない。


 あたし自身、院に入る前からそういったことは知っているのだった。


 まあ、別に一般の企業などでも他人とのコミュニケーション能力のない人間は辞めていくのが普通だったが……。


 あたしは<ポスト河西>の桃山とも絶えず接近しながら、研究を続けていた。


 やがて九月も終わり頃になり、夕暮れ時が涼しくなる。


 夏が終わり、季節は秋へと移り変わった。


 あたしは連日残暑で蒸されながらも、欠かさず大学に通い、研究を続ける。


 コーヒーをがぶ飲みしながら、カサ研に設置してあるパソコンに見入った。


 あたし自身、季節が変わったことで、何もかもが過去になってしまうのを感じ取ってい
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