学生さん
 教官と学生に距離感がないからだ。


 一体となって頑張れると思う。


 あたしはそういった点を考えて、開告大に残るつもりでいた。


 研究は孤独を伴う。


 だけど、それを恐れていたら何も出来ない。


 謙太はおそらく、院の授業や研究そのものに嫌気が差したのだろう。


 彼のようなドロップアウト組は結構多い。


 あたしが知っている限りでもかなりの人が大学や大学院を中退したりして、自分の可能性に賭けているのだった。


 別に悪いことじゃないだろう。


 むしろいいことだと思う。


 納得の行かないまま、人生を棒に振るのだけは避けたいからだ。


 あたしは無事学会での研究発表を終えて、その後の記念パーティーで、河西を始めとする開告大英語学科の人間たちや、他大学の先輩研究者たちと歓談した。
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