学生さん
「お疲れ」


「来てくれてたのね?」


「ああ。君の研究発表を聞いたよ。非の打ち所がないぐらい完璧だった」


「褒めてくれてありがとう」


 すると彼が近付いてきて、あたしの体を抱きしめ、そっと口付けした。


 そしてキスが終わると、


「今夜は最高の夜になりそうだな」


 と言い、正門へと歩き出す。


 あたしが乱れていたスーツのよれを直して、追うように足早になる。


 その日の夜、あたしと謙太があたしのマンションで抱き合って、密な時間を過ごしたのは言うまでもない。


 体を重ねて抱き合うたびに、愛おしさが増していく。


 若者同士らしく繰り返し繰り返し……。

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