学生さん
第26章
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 九月の学会の発表を終えて、あたしは一息ついていた。


 やはり過度の緊張が影響していたのか、少し体が重たい。


 あたし自身、大学に通いながら、研究を続けていた。


 十月下旬から十一月上旬は学園祭シーズンで、あたしは開告大のキャンパスが学園祭一色に染まっていくのを感じている。


 あたしは大学院の修士の一年だ。


 英語に関して研究するために、大学に残るという選択肢を選んだ。


 まかり間違っても、遊びに来ているわけじゃない。


 最初からこのキャンパスで英語に関して、知識を増やすことを念頭に置いている。


 大概、文学部の学生は、学園祭などに興味がない人間が多い。


 あたしもそういった人間の一人だった。


 この季節、確かに学内が秋色に染まれば、他学部の学生たちが遊び始める。


 あたしはカサ研に詰めながらも、学内でコンサートや催し物が行なわれているのを感じ
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