学生さん
「それにしても久々だな。俺が六年弱いた学校だからね」


「懐かしさって感じるでしょ?」


「ああ。……だけどもう未練はないよ。どうやら作家として専業になれそうだし」


 謙太がそう言って笑う。


 あたしも笑顔になった。


 あたしたちは歩き出す。


 各所で清掃がなされたキャンパスに入り、春という季節を感じながら……。


 互いに洋々(ようよう)とした前途を祝福し合うような感じで……。
 
 





 
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