学生さん
たのが実態だ。

 
 だけど、研究職を目指す気持ちに変わりはない。


 大学などで英語を勉強している学生に、ある就職口となれば、限られてくるからだ。


 あたしは一年一年学年が上がっていくごとに、研究自体が面白くなってきて、楽しみになりつつある。


 没頭するしかないだろうと思えた。


 学部生・院生問わず、何らかの形で河西教授の研究のお手伝いをしているのが、あたしたちなのだから……。


 河西教授は東都大文学部大学院博士課程終了で、学位は文学博士である。


 あたしにとって、東都大は憧(あこが)れなのだった。


 古今東西の文献が東都大の付属図書館や研究室にあって、あたしたち研究学生にとってはお宝だからだ。


 実際、河西先生はあたしに、


「富岡君、君の実力なら東都大の院にも進学できるよ。都会の空気を吸うつもりはないかな?」
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