学生さん
第27章
27
「もちろん受賞後第一作は書いたんでしょう?」
「ああ。四百五十枚のミステリーを一作書き下ろした。これがヒットすれば、俺は確実に文壇で名が売れるし、これから先、本を企画出版で出せるようになるって思う」
「順調ね。……あたしももうすぐ修論書くつもりだけど」
「枚数はどのぐらい?」
「一応二百五十枚以上でテーマは決めてあるわ」
「それを出したら、いよいよ博士課程か」
「ええ。多少緊張してるんだけど、この葛藤の時間は無駄にならないって思っててね」
「文学部で大学院の博士まで行ったら、研究職ぐらいしかないぞ」
「あたしはそれを望んでるの」
あたしがそう言って、開いていた海苔弁当を食べ続けた。
謙太も唐揚げ弁当を頬張る。
春は麗(うら)らかだった。
「もちろん受賞後第一作は書いたんでしょう?」
「ああ。四百五十枚のミステリーを一作書き下ろした。これがヒットすれば、俺は確実に文壇で名が売れるし、これから先、本を企画出版で出せるようになるって思う」
「順調ね。……あたしももうすぐ修論書くつもりだけど」
「枚数はどのぐらい?」
「一応二百五十枚以上でテーマは決めてあるわ」
「それを出したら、いよいよ博士課程か」
「ええ。多少緊張してるんだけど、この葛藤の時間は無駄にならないって思っててね」
「文学部で大学院の博士まで行ったら、研究職ぐらいしかないぞ」
「あたしはそれを望んでるの」
あたしがそう言って、開いていた海苔弁当を食べ続けた。
謙太も唐揚げ弁当を頬張る。
春は麗(うら)らかだった。