学生さん
「いいんじゃない。若いうちに行っておけば、後々いいと思うし」


 と言ってくれた。


「それまで待っててくれる?」


「ああ。いずれは一緒になる仲なんだ。遠慮することはないよ」


「じゃあ、あたしの留学には賛成?」


「うん。俺としても気持ちよく送り出してやりたいのが本音だな」


「分かった。じゃあ、修士終わったら考えるわ」


「それじゃ遅いよ。せっかく火が点(つ)いてるんだ。早めに行ってこいよ」


「そんなに急(せ)かすの?」


「ああ。修論出したら行きなよ。河西とか桃山には適当に言っておけばいいだろ?」


「まあ、それはそうなんだけど……」


 あたしは見知らぬ国で生活するのが不安になっていた。


 英語圏でも勉強しに行くのは大いに躊躇われるのだから……。
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