学生さん
 留学した後、開告大のこのキャンパスに帰ってきて、Ph.D.を取るために博士課程に進学することも考えてよさそうだし……。


 その日の青空がやけに眩(まぶ)しかったのを未だに覚えている。


 くっきりと鮮明に。


 そしてあたしはその年の春が終わり、夏に差し掛かる頃、一定の手続きを経てアメリカの大学の文学部の院に交換留学生として留学した。


 しばらくは謙太とメールし合って、互いの愛情を伝え合う。


 日本に戻ってきたら、また会えると思っていたし。


 暑い最中、あたしは飛行機で太平洋を渡り、アメリカに着いてニューヨークの街で暮らし始めた。


 愛情というのはお互い離れていればいるほど、強くなっていくものだ。


 それはそのときのあたしでも分かっていた。


 十分すぎるぐらい十分に。


 留学先の大学の院も開告大と雰囲気があまり変わらない。

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